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Mr. Hearts Column
第 9 回「あぁ、愛しのコーンポタージュ」
by 井手上誠(坊っちゃん)
井手上誠
 

ある日、打ち合わせのために入った某ファミレスにて。席について軽食やらドリンクやらを注文し、さぁ例の案件でもサクッとまとめますかっ!と思った矢先…うむむ、どこからともなく異様にネガティブな空気感が漂っておるではないか。一体誰や。やんわりと周りを見渡すと、あぁやっぱり、いましたいました。すぐ隣の席に、どこからどう見ても修羅場のカップルらしき若い二人がいたのです。女の子は少しうつむいて腕を組み、男の子は両手で頭を抱えてうな垂れている。そして沈黙。あわわ、こりゃあ女の子が非常に優勢な展開かもしれん。基本的に弱腰な僕は、男の子に激しく同情!頑張れッ!!いやしかし、これぞ青春ですなぁ、ムフフ。なーんてことを思いながら微笑ましく横目に眺めていると…あれれ、待てよ、これはものすごく何かに似ている…。そうか!歌詞を書いている時の自分自身の姿にそっくりなのだ…。アイディアも精根も尽き果ててガックリうな垂れる僕と、腕を組んで立ちはだかる真っ白なノートパソコン。うぅ、だから不思議と泣けてくるのネ。でもさ、恋愛も音楽も、そんな苦しい修羅場を乗り越えてこそ、深い愛情や思い入れが生まれるもの。日々勉強ですな、精進精進。あのカップルにも心の中で盛大なエールを…!!ところで思い入れといえば、パッと一つ浮かぶ話があります。なぜだか一年中短パンで無邪気に遊んでいた小学生の頃、なぜだかコーンポタージュという一袋30円だったスナック菓子を毎日のように買っていました。放課後、いつものメンバーで学校近くの駄菓子屋に集合すると、友達は「これとこれと…あとこれね、おばちゃんッ!」と、買うものをあっという間に決めて、気付けばもう自転車にまたがっている。優柔不断な僕はというと…うーん、やっぱりなかなか決まらない。だから、「ちょ、ちょっと待って!」と、いつも慌ててコーンポタージュの小さな袋を手に取ってしまうのだ。好きなのはもちろん好きだったけれど、もはや好きだの嫌いだのを通り越していた気がする。悩んだときも困ったときも、いつもそこで待っていてくれる、とても大切で優しい味。あぁいつか、誰かにとってそんな存在の、温かい音楽を作りたいんです。そんな壮大な夢を今年の抱負にしつつ、このコラムとバンド『坊っちゃん』共々、どうかよろしくたのんます!…ちなみに、迷ったときに選ぶ第二候補の駄菓子は、よっちゃんイカでした。なぜに小学生があんな渋スッパイ味を好んでいたのか、自分でもよう分かりません…はは。思えばあれが大人への第一歩目だったのかもしれませんね。皆さんも、思い入れのある味、ぜひ大事にして下さい

坊っちゃん web site  http://botchan.boy.jp/
 
 

前進するコラム

第60回「ブッキングとわたし」
by 山岸賢介(ウラニーノ)

山岸賢介
 

2月はハーツに出演いたします。ウラニーノではなくソロでの出演。日は2月7日。ブッキングのしあわせ(人名)からお誘いをいただいたのは年が明けてから。2、3ヶ月先のスケジュールを組んでいくライブハウスのブッキングとしては、けっこうな直前。「やまぎくん、出てもらえないかな?難しいよね?無理だよねぇ?」と、はなっから妙に弱気なしあわせ。こんなネガティブじゃ誘えるものも誘えないんじゃないかと、しあわせのブッキンガーとしての資質を心配をしつつ、決まり文句「検討させていただきます」で他人行儀な返答をする。数日が過ぎ、しあわせからの着信。さらに2日ほどして再び着信。取り込み中で二度とも取れず(決して無視したわけではない)。そして翌日3度目の着信。日程も迫っているしそろそろ出ないとなと思い、「はいはい、どうもー」と出ると、受話器の向こうでおよそ幸せとはほど遠い悲痛な声を出すしあわせ。「やまぎくん、お願い!出て!」。これはもはやお誘いではなく、「懇願」である。いろんなブッキングを受けて来たが、泣きつかれてのブッキングはなかなかない。ぼくは決してじらしていたわけでも迷っていたわけでもなく、もとからけっこう乗り気だったので、受話器のあちらでいつのまにか追い込まれているこの男が妙に不憫になり、即答で出演を快諾したのでありました。ライブハウスやバンドのブッキング事情なんてものはお客さんからすれば完全に裏話なわけですが、このしあわせにトラさんみたいな格好をさせて「ブッキングはつらいよ」という映画を作れるのではないかというくらい、ブッキングは大変だと思います。自分達主催でない限り、ぼくらはあくまで声をかけていただいてる身。誘っていただけるうちが花だとは思いつつも、いろんな事情ですべてをお受けすることはできません。熱烈に誘っていただいたお話をお断りするときほど辛いものはありません。過去10年間には「断りきれなかった」という理由で出演したイベントも正直ございます(笑)しかし、どんなブッキングだろうと与えられたステージはすべて同じ。そこにいてくれるお客さんに向けて全てを出し切る。それがバンドマンです。そしてお客さんが心から楽しんでもらえる夜を作るために、今この瞬間もブッキングの電話は飛び交っているのです。ですから皆さん、ライブハウスに来たらちょっぴりそんなことに想いを馳せつつ、お目当てのバンドだけでなくその日1日を楽しんで帰ってくださ…あら、いいこと言おうとしてるところに着信が。しあわせでした。「やまぎくん、お願い!来月分のコラム早くちょうだい!」

ウラニーノ web site  http://www.uranino.com/

COLUMN